敗血症とは

敗血症は、感染に対する制御不能な生体反応によって引き起こされる生命を脅かすような臓器障害と定義されます1。世界で約5,000万人の患者がいると推定されており2、日本国内では、年間に30万人以上の敗血症の患者さんが発生し、約1/5の方が亡くなられるという調査結果があります。。敗血症性ショックは敗血症のなかでも特に重症な病態であり、十分な輸液負荷を行った後でも平均血圧65mmHg以上を維持するために血管収縮薬を必要とし、かつ血清乳酸値が2mmol/L(18mg/dL)を超える状態と定義されています3

敗血症患者の体内で起こっている炎症反応、凝固異常、免疫障害、微小循環障害などは、感染した微生物に由来する外因性の物質(PAMPs)あるいは侵襲に応答して細胞から産生される内因性の物質(Alarmin)により惹起されます。PAMPsの中でも、グラム陰性菌に由来する毒素であるエンドトキシンは、強力な炎症、臓器障害を引き起こし、敗血症の主要な原因物質の一つと考えられています。

  1. 1“The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3)” JAMA (2016) 315:801-10
  2. 2Lancet. 2020 Jan 18;395:200-211.
  3. 3“Developing a New Definition and Assessing New Clinical Criteria for Septic Shock For the Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3)” JAMA (2016) 315:775-87